ゼロの使い魔 ハルケギニア南船北竜
第三十五話「展望」




 祖父の屋敷へと戻ったリシャールは、昼もかなり回っていたので簡単な食事を摂った後、あらためて祖父らと対面した。
「皆様にはご面倒をおかけいたしました」
「半分はこちらの都合も含まれておったからのう。
 そこまで気にすることではないわい」
「そうだな。
 まあ、爵位が欲しいと言いだした時には、流石にどうかと思ったが……」
「既に実現してしまったのだから、良しとしましょう、お二方」
 とりあえずは叙爵の方も終わり、皆も気楽なものなのである。今の内に大事な話は済ませておこうと、リシャールは借金の返済についてどうすべきかと切り出した。

 詳細な金額は、ふたつの領地の代金が二十七万エキューに賄賂が十一人に計三万八千エキュー、実際の諸経費に四千エキューほどかかって、合計は三十一万二千エキューとのことであった。各々が、十万エキューと少しをリシャールの為に用意してくれたことになる。
 これらの返済については先に話し合われていたようで、祖父らは領地の収入とリシャール個人の収入を合わせれば、年間に各々一万づつの計三万ならば無理はなかろうと、利子も含めて十五年払い、支払いは各年の末までに、ということでどうかと問われた。総額は四十五万エキューと大きくなったが、利子を考えれば三人の領主にはかなり無理をさせてしまっているだろう。
 ちなみに帳簿上では、ラマディエの税収は年に一万四千エキュー、シュレベ−ルの方は九千エキューとなっていた。もちろんこのうちの二割は、王税として国庫に納めることになる。
 リシャールは祖父らに断りを入れて時間を貰い、差額を十五で割って利率を求めてみた。単利計算で三パーセントぐらいだろうか。やはり少々申し訳ない気になった。
 だが、返済額を自分から上乗せするのは後からでも出来ると、ここは有り難く厚意を受け取ることにした。

 夕方からは、ささやかながら叙爵を祝ってやると、祖父の主催で祝宴を開いて貰うことになっていた。全ての手配を祖父らが行ってくれたので、リシャールは出席するだけで良かった。
 これにはヴァリエール公爵夫妻、ギーヴァルシュ侯爵夫妻らを初め、叙爵の仕掛け人である祖父らの親しい友人も招かれ、規模は小さいながらもリシャールにとっては実のある集まりとなった。比較的身内の集まりとあって、祖父らも気楽にしている。
 祖父の友人には比較的穏和な人物が多く、ギーヴァルシュ侯爵の友人には軍人貴族が多かったのは、祖父らの性格によるものだろうか。ただ、あからさまな宮廷貴族が一人も居なかったのは、如何にも二人らしいと思えた。
 また、リシャールの知っている顔では、昼間にも会ったルイズの他にも、エレオノールや、クロードらアルトワ伯の子供たちも駆けつけて祝ってくれた。残念ながらカトレアは留守番と言うことだったが、これは仕方ない。
「ちいねえさまからは、リシャールに頑張ってって伝えて欲しいって言われたわ」
「ありがとうございます、ルイズ様」
「ね、リシャールからは?
 伝言はないの?」
「では、領地に入る前に、一度そちらにお伺いしますと、伝えていただけませんか」
「いいわよ。
 ちいねえさまも、きっとお喜びになると思うわ」
 アーシャによる内緒の治療もあるし、やはり、直接会いたいという気持ちもある。今のところ、何につけやはりカトレアが一番になるリシャールだった。

 同時に、この席ではリシャールとカトレアの婚約も正式に発表された。カトレアが社交界に出ていなかった為か、はたまた本人がいないせいか、当初周囲の反応は薄かったが、彼女がヴァリエール公爵の次女だと知れると、大きなどよめきとなった。
 宮廷貴族ではなくとも、流石に閨閥や姻戚には皆敏感である。
 セルフィーユ男爵家がエルランジェ伯爵家の単なる分家でなく、ヴァリエール公爵家をも後ろ盾に持つ相応の存在であると認識されたようだ。孫かわいさに老貴族がわがままを通したにわか作りの貴族、では済まされない。ヴァリエール公爵の子に、男子がいないことも大きく影響していた。まかり間違えば、リシャールかその子供がラ・ヴァリエールを継ぐ可能性もあるのだ。
 リシャールは、商会の方はともかくも、それなりに男爵家が整うまではこちらの方では目立ちたくなかったのであるが、それは徒労に終わりそうだった。

 王都住まいの者も多いとあって、宴席はそこそこ遅い時間まで続いた。
 リシャールは疲労困憊という体だったが、主役であるからにはと最後まで頑張った。宴席が終わった後、祖父らに挨拶を済ませると、泥のように眠った。
「おはようリシャール、起きなさい」
「え、母上!?」
 翌日、リシャールは母に起こされたので驚いた。
 アルトワ伯らとともに王都に来たのだが、今日は時間を貰ったのだという。
「せっかくだから、みんなで朝食を食べましょう。
 あなたが一番の寝坊よ」
「みんな?」
 リシャールが母に連れられて慌てて食堂に参じると、食卓にはエルランジェの祖父母の他にも、父に長兄に次兄、果てはもう一人の祖父ニコラまで席に着いていた。
「めでたいことだからの。
 アルトワ伯に無理を言うて、ラ・クラルテ家の皆にも揃うて貰うたんじゃ」
 モリスの心遣いに、リシャールは感謝した。
 ラ・クラルテの家族全員が揃うのは、次兄ジャンがアルトワを出て以来だ。そのジャンも、勤め先のセギュール伯爵家から呼ばれてきたらしい。この屋敷からはそれほど離れていないから、時間さえ大丈夫なら問題ないのだろう。
 久しぶりの一家団欒と言うことで、リシャールはからかわれながらも楽しい時間を過ごすことが出来た。

 わざわざ集まってくれた家族らを見送った後、リシャールは改めて祖父母にもきちんと礼をしてからエルランジェの屋敷を辞した。
 本格的にセルフィーユ男爵家を作り上げなくてはならない。王都にいるうちに、出来る限りのことはしなくてはならなかったのだ。
 マルグリットらにも会いたかったが、先にデルマー商会のシモンを訪ねることにした。余計な出費だなあとは思いながらも、御者込みで乗用の黒馬車を借りて乗り込む。シモンにはこの為にアルトワから出向いて貰っていたし、ギーヴァルシュ侯爵にも予定を組んでいることは知らせてあった。
「お久しぶりです、シモン殿」
「叙爵おめでとう御座います、セルフィーユ男爵。
 ……これからは、リシャール君と気軽に呼ぶのは流石に躊躇われるなあ」
 彼なりの気遣いを嬉しく思うリシャールだった。シモンは、このあたりの匙加減が上手いのだろう。
「あはは、商売を鞍替えしただけですからね。
 今まで通りにして貰った方が落ち着きます」
「そう言って貰えると嬉しいね。
 然るべき場所以外では、そうさせて貰うことにするよ」
「はい」
 シモンの他に、支店長のヴァランタンにも同乗してもらい、ギーヴァルシュ侯爵の屋敷へと向かった。
 基本的には、今日の所は二人と侯爵との顔合わせが出来ればいいのだ。加工場と、それに関連する製法や運営の引継については、リシャールも自ら指導を行って直接確認をしているので、今のところ懸念する事項はない。リシャールも問題なしとして、商標を許していた。
 また、月をまたいだので引き渡しは済んでいるが、名目上はまだラ・クラルテ商会の加工場ということになっている。そうでなければ、お墨付きの印が使えなくなるからだ。このあたりは税収にも関わるので事前に調整を済ませ、了解を取っておいた。
「デルマー商会のシモンに御座います」
「うむ、リ……セルフィーユ男爵より話は聞いている」
 リシャールはお互いの紹介を済ませると、後は聞き手に回っていた。合間に引継の確認を取られた程度である。実務面などの説明も、同行のヴァランタンが行ってくれた。
 余計に決まったことと言えば、年に一度、リシャールの方にも送られてきた商品を試食して品質の確認をするという程度である。リシャールもラ・クラルテの商標を預ける上で必要な事だと思っていたから、元よりそのつもりであった。
 こうして引き継ぎも無事に終わり、リシャールはシモンから加工場の権利と引き替えに四千四百エキューの小切手を受け取った。これでしばらくは、商売も一休みである。

 リシャールはシモンを送ったあと、そのまま馬車で貴族院へと向かった。預けられている必要な書類を受け取りに来たのだ。これは既に祖父らによって話がついていたので、リシャールは確認をして受け取るだけだった。
 ただ、領地の詳細は、やはり現地にて確認するしかないようだった。王領とのことで、王都にいるうちにそれなりの資料が申し送りされるかと思ったのだが、ここで受け取った書類には通り一遍の統計的な物しか記されていない。税と戸籍は切り離せない物だろうに、そういったものも全くなかった。王都にいるという、シュレベ−ルの代官の名前さえ記されていない。
 まずいなと思ったが、動きようがなかった。王都にいるうちに資料を検討したいと思っていたのだが、これではどうしようもない。下手をすると、地盤づくりから始めないといけなくなる。
 叙爵に躓きがなかっただけでも幸いかと気持ちを切り替えることにして、リシャールは竜牧場でアーシャの顔を見たあと、魅惑の妖精亭に足を向けた。

「リシャールちゃん、お話は聞いたわよ。
 すっごいじゃない!
 んん〜、トレビアン!」
 魅惑の妖精亭では、いつものようにスカロンから熱烈な歓迎を受けた。マルグリットらが既に伝えたのだろう。
 リシャールは、ラ・クラルテ商会がイワシの事業から撤退してしまったことについて、最初に謝らないとと考えていたのだが、それらは遠くに押しやられてしまった。
 いつぞやと同じようにジェシカによって助け出されてから詫びを入れたが、デルマー商会の方からも、今後も品質と値段は変わらないと連絡は来ていたようで、マルグリットらの説明もあってかスカロンは納得していたようだ。
「ほんとに男爵様?
 ちょっと信じられないけど」
 ジェシカからは懐疑的な目で見られたが、それまでがそれまでだけに仕方ないのだろう。
「威厳も何もないのは僕にもわかってるけど……。
 ちゃんとアンリエッタ姫殿下から叙爵してもらったよ?」
「ね、お姫様は美人だった?」
「うん、綺麗な人だったよ」
 確かにトリステインの花と謳われるだけあって、美少女だったなあとアンリエッタの姿を思い返してみる。
「奥さんとどっちが綺麗?」
「……それは答えにくい質問だなあ」
 どちらに軍配をあげるわけにもいかず、少し困ったリシャールだった。落第点な答えとわかっていても、そう答えるしかない。
「まあ、お姫様と同じぐらい綺麗って?
 はいはい、ごちそうさま」
 ジェシカはいつかと同じように呆れて見せてから、リシャールの肩をぽんと叩くと厨房の方に戻っていった。
 彼女もスカロンも、リシャールの爵位よりも人柄を優先してくれたらしいと、ちょっと嬉しくなった。

 自分の泊まる部屋も用意して貰い、マルグリットらの部屋を訪ねようかと思っていたら、全員留守にしているという。
 まだ日も高いので、これは仕方ない。
 リシャールの方も、それぞれに連絡が付くなら、夜に誰かが居てくれればいいとしか決めていなかった。リシャールの方の予定が流動的過ぎて、決められなかったのである。滞在費も、四人が余裕でひと月余り王都で過ごせる程度には渡してあった。その上で、マルグリットには当座の路銀以外の全ての金を、商用の指輪と共に預けてある。
 うちの誰かが来たら起こして欲しいとジェシカに頼んで、リシャールは遅い昼寝を決め込むことにした。

「リシャール様、戻られていたのですか?」
「はい、やっと解放されましたよ」
 夕方遅くになって、マルグリット達が戻って来た。今日の昼間はそれぞれに観光をした後、連れ立って戻ってきたらしい。
 簡単な報告を済ませてから、食事を頼んでお互いを労う。明日になればリシャールはヴァリエールへと向かい、マルグリット達はエルランジェに向かう。彼女達も、ヴァレリーとジャン・マルクの結婚式に立ち会いたいとのことで、馬車を何日も借り切るよりはと、引っ越しの際の荷物は倉庫を借りて預けてしまったそうだ。リシャールは預けてある剣を王都で売ろうかと思っていたのだが、腐る物でもないしと、そのままにしておくことにした。
 王都からの移動には、荷馬車を買い上げてセルフィーユに来て貰うことにした。向こうでも何かと使うだろうが、リシャール一人では持っていても無駄なのだ。ジャン・マルクだけでなく、彼の父親も馬車を操れるとのことで、荷物が多いようなら更に荷馬車を買い付けても良いと含め、そのあたりは任せることにした。
 当座の金はあるが、領地の本格的な経営などは彼女達がセルフィーユに到着してからになるので、商会の資金も預けたままにしておくことにする。先ほどシモンから渡された小切手を現金化すれば、領地で多少の事業を行ってもしばらくは持つだろう。
「では私はラ・ヴァリエールに寄り道した後、先に領地に入ります。
 皆さんはエルランジェ、アルトワ、王都と、順に巡ってからこちらに来て下さい。
 そうですね、これから忙しくなるので、今月一杯は全員長期休暇と言うことにしましょうか。
 移動の時間もあるので、長いと言うほどでもないですがそれぞれに楽しんで下さい」
 リシャールは今後の予定を皆に示し、こちらも久しぶりに勢揃いしたと言うことで、共に食事にすることにした。

 翌朝、リシャールはマルグリットらを見送ってから、ラ・ヴァリエールへと向かうことにした。彼女達は乗合馬車での出発なので、少し早いのだ。
 リシャールは王都のギルドが開くのを待って小切手を現金に換えると、当座に必要な僅かばかりの買い物をしてからアーシャに乗った。幸いにして、今日は天候も良い。
 出発したのは昼前の遅い時間だったが、それでもリシャールとアーシャは夕方前には公爵家の門をくぐり、ヴァリエール公らと挨拶を交わすことが出来た。
「おお、いよいよであるな。
 しかし、身一つで乗り込むか」
「はい。
 当分は宿屋暮らしになりますし、しばらくはあちこち走り回るでしょうから身軽な方がいいです」
「ふむ、まあそのあたりは仕方なかろうな。
 それよりも、カトレアが会いたがっておった。
 早く行ってやれ」
「ありがとうございます」
 カトレア以外の公爵家の人々とは、つい先日も言葉を交わしたところなので、公爵の言に甘えることにする。
 道中の案内につけられたメイドに、カトレアの様子などを聞いてみたが、やはりまだ調子がよいとは言えないが前ほどではないと、先日と変わらぬ答えが返ってきた。
「リシャール、いらっしゃい」
「はい、お約束通り、領地に入る前に直接来ましたよ」
 カトレアは前に会ったときよりも、若干頬が引き締まって血色も良い感じだった。本人に聞いてみると、極端に体調を崩すこともなく、一日寝れば治る程度の不調はあるが良い感じだと答えが返ってきた。以前の様に、体中が重いと感じることも少ないそうである。
 前よりも美人になったと言うと、リシャールがびっくりするほどカトレアは真っ赤になった。嘘ではない。彼女は本当に綺麗になっていたのだから。
 茶菓子などを置いてメイドが退室したので、リシャールもややくだけた雰囲気になった。
「叙爵した日に婚約も正式にお披露目となったし、あとは僕がきちんとしないとね」
「そうね、何度でも言うけれど、無理はだめよ?」
「うん、ありがとう。
 そうだ、今日はもう遅いけど、明日またあの泉に行こうか。
 治療もあるし、春先だから花が咲いて綺麗かも知れないよ?」
「素敵ね。
 是非行きたいわ」
「じゃあ明日はその予定にしよう」
 リシャールはしばらくカトレアの部屋でのんびりとした後、久々に自ら包丁を取ってカトレアの夕食を作ったり、メイドを集めてカトレアの様子を細かく聞き取ったりしていった。

 翌日、前と同じように二人でアーシャに乗って、泉へと向かった。
 まだ春先も早いと言うこともあり、以前ルイズから聞いたほどではなかったが、泉の周囲には幾種類かの花が咲いている。前回の反省から、予備と称してアーシャの分の茶杯やお菓子を持ってきたのは内緒だ。
「おいしい」
「そうね。
 あら、アーシャはフォークを使うのも上手なのね」
「うん」
 アーシャによる治療は前回と同じくあっと言う間に終わり、今は三人でのんびりとお茶を楽しんでいた。
 本当に良い光景だと、リシャールは思った。未来の妻といる大事な使い魔が、自分の子供のように思えてくる。
 前世では幾人かの女性とはつきあったことはあったものの結婚はしなかったし、子供ももちろん居なかった。目の前の二人を見ながら、家族の団らんとはこういうものなのだろうかと想像してみる。
 もっとこう、結婚とは長いつきあいを経てから至るのだろうという道筋を思い描いていたが、現実にはカトレアと出会ってからわずか三ヶ月余り、自身でも呆れるほどのスピード恋愛スピード婚約であった。それに不満があるわけではないが、幸せすぎて良いのかという気持ちもある。
 七歳年上のとは言いながらも、リシャールは年下で美人の嫁さんを貰った気分であった。
「リシャール、今お父様と同じ顔してたわよ?」
「えっ!?」
「ふふ、それだけわたしのことを大事にしてくれているってことね。
 嬉しいわ、リシャール」
 ああ、そうかもしれないなと、リシャールは素直に頷いた。
 リシャールは、カトレアの笑顔で大事なことを思い出した。
「あの、カトレア」
「なあに?」
「左手を……」
 リシャールは懐から指輪を取り出した。シンプルな中にも、可能な限りの精緻な装飾を施してある。リシャールが全力を注ぎ、手間も『亜人斬り』以上にかかっている力作であった。ギーヴァルシュでマルグリット達にもお披露目し、合格を貰っている。
「あ……」
「あー、うん」
 リシャールはカトレアの左手の薬指に指輪をはめ、アーシャが見ているのも構わず、そのまま抱き寄せた。

 昼までは半ば休暇のような過ごし方をしていたが、午後になってリシャールは気持ちを引き締め、いよいよセルフィーユ領へと向かうことにした。今から出ても、日のあるうちには到着できる。
「では、行って参ります」
「いってらっしゃい、リシャール」
 リシャールは見送りの皆の前で、カトレアから頬にキスを贈られた。公爵の眉が少しひくついていた様だが、カトレアが非常に嬉しそうだったせいか、口に出しては何も言われなかった。
 ぱんぱんと頬を叩くリシャールを見て、カトレアが不思議そうにしていたので、ここラ・ヴァリエールは居心地が良すぎるので気合いを入れ直していたんですと答え、アーシャに騎乗する。
 いよいよだ。
 見送りのカトレアらに手を振り、アーシャと身一つで旅に出た時とさほど変わらない気持ちと荷物と共に、リシャールはラ・ヴァリエールの城を後にした。







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