ゼロの使い魔 ハルケギニア南船北竜
第八話「韻竜」




 結局、出立の日が更に延びてしまったリシャールだった。
 召喚の翌日か、その次の日あたりには出る予定だったのだが、召喚したのがアース・ドラゴンだった上、自覚もなくトライアングルのメイジにランクが上がっていたので延期となったのである。
 アーシャ召喚時の咆吼は当然街にも届いていて、衛兵が練兵場にすっ飛んでくる騒ぎになった。平謝りするリシャールだったが、特に被害もなく使い魔召喚の直後ならば仕方あるまいと言うことで、口頭での注意だけで済んだのは幸いだった。
 さて、アース・ドラゴンであるアーシャは、ドラゴンだけあって食餌も馬鹿にならなかった。とりあえずはと父が用意してくれた丸まるとした豚は、あっと言う間に平らげてしまった。
 ギルドで竜に詳しい人を捜して貰って尋ねてみたところ、アーシャぐらいの大きさなら、先程ぐらいの豚なら一日一頭、牛や馬なら四、五日に一頭程度は食べさせないといけないと教えられた。ちなみに先ほどの豚一頭で四エキュー、牛なら五十エキューは飛んでいく。一応雑食でもあるので人間と同じように野菜や魚なども食べるが、基本的には肉を与えるそうだ。
 食費のことを考えて頭を抱えたリシャールだった。いや、アーシャは悪くないのだ。メイジとしての力量はともかく、経済力が伴わなかったのである。リシャールは自分の生活費とは別に、月々最低でも百二十エキューは稼がないと困ったことになるのだ。平民ならば一年は暮らせる金額である。
 もう一件のトライアングルの方はまだいい。昇格を喜んだ父が、これまでリシャールには教えていなかったトライアングル・クラスの魔法を、みっちりと教えてくれると言うので甘えたのだ。五日ほどかけて、使えそうな魔法とその応用を教え込んでくれるらしい。

 翌日からは、それまで以上に過酷だった。
 昼間は練兵場でアーシャに見守られながら、父と魔法の訓練を行った。これまでとは違い戦術等も含めて教え込まれたため、充実した訓練となった。
 合間には兵士達も参加して多対一での模擬戦等も行われると言う厳しいものだったが、リシャールはそれに耐えた。自分の力が徐々にでも高まっていくのがわかるのは、とても気分がよいものなのだ。毎日酷使される体は疲れていたが、爽快な気分で訓練に臨んでいくリシャールだった。
 夜は夜で、ジェルヴェに紹介された鍛冶屋を一軒づつまわっていった。ジェルヴェが知恵を付けてくれたのだ。
 工匠組合の新人としての挨拶廻りを兼ねて、格安料金で売り物に固定化の呪文をかけて回った。これまでアルトワの鍛冶屋には錬金鍛冶師が居なかったので、とても喜ばれた。相場はジェルヴェに教えて貰っていたが、彼らとの付き合いはこの一時で終わるわけではない。僅かの収入でも惜しいこの状況で相場の半額と安くしたのは、今後の為である。同業者とは言え、彼らにはこれからも贔屓にして貰うつもりなのだ。このあたりは前世の仕事内容が生きていた。
 ともかくも、売り物の小刀から両手剣、ついでにハンマーや金床などの道具類まで引き受けて、五日間で稼いだ金額が四十八エキューと三十五スゥ。予想以上に稼げたおかげで、どうにか一息つけるようだった。

 父との訓練も終わった。
 部屋の片づけも何とかなった。
 これでやっと、本当に準備が整ったことになる。
 この一ヶ月は前世を含めても、最も忙しい一ヶ月だったとリシャールは振り返る。
 初陣からこちら、兄の言葉をきっかけに勢いだけで進んだような気がする。
 初陣の前は、アルトワ伯爵家に雇われたラインのメイジで、公子付きの御学友兼従者だった。
 今はトライアングルの土メイジで、アルトワの工匠組合所属の錬金鍛冶師で、同じくギルド所属の行商人兼評議会議員である。
 人間わからないものだとため息をつきながらも、リシャールは前向きに行こうと思った。

 出発の前日は丸一日休みを取ることにして、アーシャの寝床に足を向けた。
「おはよう、アーシャ」
「きゅくるるー」
 窮屈させてごめんと思いながら近寄っていく。
「きゅ?」
「ああ、うん」
 アーシャの鼻づらをひと撫でしてやる。
「明日出発するんだ。
 ……僕はまだ子供だし、行商人だか魔法使いなんだか自分でも良くわからないけど、頑張るよ」
「きゅ」
 母が井戸端でミミに向かって語りかけていたように、アーシャに話を聞かせる。リシャールは、アーシャが理解しているのかいないのかは、あまり関係ないのだと思った。
 そういえば、とリシャールは考える。
 生まれ変わってからこれまでで、対等に口を利ける相手というのはアーシャが初めてかもしれなかった。
 家族では末っ子で自分より下に弟妹はおらず、伯爵のご一家は年齢がどうのという問題でなく礼儀を尽くさねばならない相手だったし、居城に勤める人々も平民と言えど全員年上だった。領地は持たないが同じ勤め人とは言え貴族の子弟ということで、彼らからは丁寧に扱われていたが、リシャール自身が特権がどうの以前に相手を年上、目上の人、職場の先輩として見ていたからタメ口を聞けるはずもなかった。街に行けば同い年ぐらいの少年少女はいるはずだったが、残念ながら許されることではなかったし、知り合う機会もなかった。
 そう考えるとアーシャは非常にありがたい存在だった。
「そうだ、アーシャ」
「きゅい?」
「僕を乗せて飛んでくれるかい?
 しばらくここには帰ってこないから、アルトワを上から見てみたいんだ」
「きゅいー」

 リシャールも、竜に騎乗するのは初めてだ。竜籠の方も未体験である。
 自身のレビテーションで地上から十数メートルまでは飛んでみたことはあったが、たかが知れている。ちなみにレビテーションの習得には他の呪文の何倍もかかっていて、当時、父母の首を傾げさせた。何となく自分に呪文をかけるのが嫌だったのと、高いところに足場もなく浮かぶのが不安だったからだ。前世の知識や常識が影響して、本能的に拒否していたのだろう。もっとも、本当に気分だけの問題だったから、慣れてしまえば後は早かった。

「きゅいきゅい!」
 寝床から出たアーシャは、早く乗れとでも言うように首を低くした。
「あ、ありがとう」
 アーシャの手を借りて背中によじ登って、首の根っこあたりに跨る。レビテーションでもよかったのだろうが、アーシャが前肢を差し出してくれたのでうれしくなったリシャールだった。
 竜騎士のように鞍を付けたいけど、つけたら嫌がるだろうなと考える。
「きゅいいい!」
 一声発して助走もなしにふわりと浮かび上がったアーシャは、そのまま羽ばたいて百メイル程上昇した。実際は百メイルなのか二百メイルなのかわからないリシャールだったが、高層ビルから下を見下ろすような感じである。意外と恐怖感はなかった。
「アルトワってこんなに綺麗なところだったんだな……」
 上空から見下ろすと、アルトワ領が一望できた。
 伯爵の居城であるアルトワ城、アルトワの市街、川を少し下ったところにある滝、東西に伸びる街道、先日初陣で向かった山村手前の林も見える。南部は山深いが、北部は田園風景が続いていた。
「ねえアーシャ、街を中心にしてぐるっと一回りしてくれるかな?」
「わかった」
「うん、ありがとう」

 うん!?

 わ、か、っ、た……!?

「ちゃ、ちょ、あ、ちょっとまってアーシャ!」
「きゅい?」
 流石のリシャールも慌てた。確かに今、アーシャは普通に返事をしたのだ。そう、普通に。人と同じように。
「アーシャ今喋ったよね!?」
「きゅ、きゅい…」
 あらぬ方を向きつつも背中のリシャールを気にしているようなアーシャに、吹き出したリシャールだった。
「ごまかしてもだめ!
 っていうか、アーシャ、そこまで人の話がわかるんなら……」
 ふと思い出したが、リシャールはアーシャに刻まれた契約のルーンの意味を調べていなかったのだ。
 使い魔も、刻まれたルーンによっては希に喋ることがある。主の伝言をそのまま伝えるどころか相手と雑談までしてくるフクロウ、財布を預かって買い物に出かけ、店先でいつもよりも肉が高いとぼやくグリフォン等、珍しくはあるがいないわけではない。
「アーシャ。
 お話、出来るよね?」
「……うん」
「やっぱり……多分ルーンのせいだと思うけど……」
 おそらく、アーシャに刻まれたルーンは言語系か知能系なのだろう。空から降りたら、お城の書庫を借りて調べなくてはならない。
 でも、リシャールにはとても嬉しいことだった。少なくとも、旅の途中で喋る相手がいることはこの上ない心の助けになるだろう。
「でも、なんで今までお喋りしてくれなかったの?」
「え、うん。
 ……怒られると思ったから」
 アーシャは言いにくそうにしながらも、リシャールの方をちらりと見て答えた。
「なんで?
 ルーンが刻まれたことで話せるようになったとしても、怒ったりしないよ?」
 そりゃ、急に喋ったからびっくりはしたけど……」
「ルーンのせいじゃないもの……」
「え!?」
「お話が出来たのはその前からだもの」
 再び驚かされるリシャールだった。
 ルーンによる能力強化のおかげではない、ということは、答えは一つ。リシャールも知識では知っていたが、ハルケギニアにも向こうと同じように絶滅した種があるのだな、という程度の認識だった。
「もしかして、アーシャは韻竜……なの?」
「うん」
 ……絶滅していなかったらしい。
 リシャールはどっと汗が吹き出てきた。

 韻竜は、竜の上位種族とも言える幻獣である。外観は普通の竜と大差ないが、人語を解し、高い知能を誇り、先住魔法と呼ばれるエルフ等と同じ種類の魔法さえ行使するという。
 あまりにも人の前に姿を現さない為に、絶滅したものと思われていたのだろう。これまでも、数百年に一度か二度の目撃例があった程度だ。
「えーっと、アーシャ。
 アーシャがお喋りしなかったのは、懸命な判断だったと思うよ」
「父様みたいに怒られるから?」
「うーん、アーシャのお父さんのことはわからないけれど、大騒ぎになったと思うよ。
 僕はルーンのおかげでお喋りできるようになったんだとさっきは思ったけど、もしもルーンを調べて言葉や知識のルーンじゃなかったとしたら、僕もアーシャも困ったことになってた」
 下手に知られて広まったりしていれば、最悪の場合王室や上級貴族からの召し上げもあり得た。
「アーシャは正しかった?」
「うん。本当に賢い選択だったよ。
 ありがとうアーシャ」
「ふふふー」
 嬉しそうに笑うアーシャに、リシャールも釣られて笑った。

 しばらくアルトワ上空を旋回しながらアーシャと相談したリシャールは、二人だけの約束事を決めておいた。

 二人だけの時は人の言葉でお喋りしてもいいが、人前では絶対に喋らないこと。
 どうしても伝えたいことがある時は、決めた合図……この場合はリシャールが怪我しない程度の甘噛みをすること。
 リシャールが居ないときに酷いことをされそうになった時には、なるべく物を壊したり人を傷つけたりしないで逃げること。
 何かあってリシャールとはぐれてどうしようもなくなった時は、アルトワに戻ること。
 まだ成長期なので、もう少し食餌の量を増やすこと。
 豚さんばかりでは飽きるので、たまには他のものも食べさせること。

 何か少し内容が偏ってきた様な気がしたが、アーシャには大事なことなのだろうと、渋々ながら約束するリシャールだった。
「どんなものが食べたいの?」
「鴨のシチューと、お魚の香草焼き」
「……はい!?」
「それから、猪の肉団子の煮込み」
 間違っても韻竜の口から出る言葉じゃないだろうと思ったリシャールだった。それに、具体的すぎる。
「もしかして、食べたことがあるの?」
「うん。父様が作ってくれた」
「え、竜が料理?」
 巨大な鉄鍋を奮う竜を想像してしまった。いや、魔法も使える韻竜ならば可能なのかもしれない。
「アーシャのいたところには、竜に使えるような大きなお鍋とかがあったの?」
「違う。
 父様はちゃんと人の姿で、人の道具を使って料理してた」
「人の姿!? 
 ああ、そうか、韻竜は人の姿も取れるんだったね」
「私もたまに、人の姿で人の村に行ってた。
 ナイフとフォークの使い方もわかる」
 どうやら、人の常識を全く知らないわけではないらしい。多少は教えることが少なくて済みそうだ。
「なるほどね。
 じゃあ誰もいないところでなら、一緒に食べても大丈夫だね」
「うん!」
 うれしそうにきゅるるーと喉を鳴らす音が聞こえた。

 一人と一頭はしばらくそのまま他愛もないお喋りをしていたが、とりあえず地上に降りた。
 アーシャには寝床で一休みしてもらうことにして、彼女の尻尾のルーンを記憶したリシャールは城へと向かった。手元に紙がなかったので、棒きれで地面に三十回ほど書取をして憶えたのだ。
 日常使われるアルファベットもどきには慣れていても、昔の文献を紐解く研究者かブリミル教の聖職者ぐらいしか使わない古びた文字だけに、リシャールもそのまま暗記するしかなかったのだ。
 城に着いたリシャールは祖父に訳を話してクリストフから許可を貰い、書庫に入れて貰った。
 書庫とは言っても、全てが製本されているわけでもなく、巻物や紙片のまま束ねられているものも多かった。その中から、先日借りた使い魔に関する本を探す。巻末に主なルーンとその効果が載っていたのだ。
 返却してすぐだったせいかほどなく見つかったその本をめくり、アーシャのルーンと同じ物を探す。似たようなマーク、というか文字を探してその前後を順に見ていった。それほど珍しくはないのか、すぐに見つかった。

 刻まれたルーンはスラーイン、ハルケギニア語の綴りならTrainnになるようだ。効果は『鉄壁』、元の生き物や主人の能力にも左右されるが、弓で射られても無傷だったり、ファイヤー・ボールをまともに受けても毛皮さえ焦げなかったりと、使い魔の身体能力の中でも防御力が上がるルーンであると記されていた。
 
 どうやら普段お喋りをさせるのは無理そうだったが、我慢して貰うしかない。リシャールは散らかした分を整理して書庫を後にした。
 祖父と伯爵にに礼を言い、刻まれたルーンが『鉄壁』であることを報告して街に出た。

 市場は今日も活気に溢れていた。
 自分の昼食も兼ねて、何かアーシャに買って帰ろうと思ったのだ。
 肉類の方がいいかなと思いつつも、いい匂いがしていたので鱒の塩焼きと桃りんごのタルトを買った。
 ついでに何か面白そうな物はないかと見て歩いたが、収穫はなかった。

「ただいま、アーシャ」
「きゅきゅー」
 アーシャは大人しく昼寝していたようであったが、リシャールが声を掛けるとすぐに起きた。
「そうだアーシャ、鱒とタルトを買ってきたからいっしょに食べよう」
「お魚!」
 アーシャの体が光を放って一瞬で人型になった。十五、六歳ぐらいの緑の髪が美しい美少女である。竜身から人身になれるのは聞いていたが、ホントになれるんだなあと納得したリシャールだった。だが、それどころではない。
 アーシャが素っ裸でリシャールに抱きついて、おねだりしてきたのだ。竜は普段、服を着ていない。
「リシャール、好き! はやく食べよう!」
「ちょ、ちょっと待って待って!
 だめ! っていうか裸はだめ!」
「うー」

 押し問答することしばし、疲れ切ったリシャールに対して、アーシャの方は、今はリシャールのマントに身にくるんでタルトを美味しそうにつまんでいる。
 父様から、人になる時は服を着ないといけないと言われていたと、ぽつりと漏らしたアーシャに、リシャールは聞いてみた。
「ねえ、アーシャは召喚される前は、お父さんお母さんと暮らしていたんだよね?」
「うん」
「今更なんだけど、急に召喚されて居なくなっちゃったから心配していないかな?」
「大丈夫だと思う」
「そうなの?」
「父様と母様には、ちゃんといってきますって言ったもの」
「うーん、だったらいいんだけど……」
 娘が急にいなくなって大丈夫なのかと思ったが、心配ないようだった。先ほどの姿やこうして喋っている内容などから、まだ若い竜なのだなと考える。竜は長命であるが、竜の一年が人間の何年分に相当するかなどは、リシャールも調べたことはなかった。
「それに」
「ん?」
「父様も昔、使い魔だったから」
「なるほど。それで人間の料理とか作ったり出来るんだ」
「うん、父様はなんでも知ってる。
 あ……」
 タルトの最後の一切れが、アーシャの口の中で消えたのだった。しょんぼりとした様子に、また買ってきてあげないとなと苦笑する。
「まだ鱒の塩焼きがあるから、ね?」
「うん!」
 現金な物である。
 若いというか、まだまだ子供なんじゃないかとも思う。竜体の大きさから、成竜の一歩手前ではないかと考えていたが、修正した方が良いようだった。
「そうだ、アーシャは韻竜なのだからちゃんと名前があったんじゃないのかな?」
「うん」
「ごめんね、勝手に付けちゃって」
「ううん。
 父様も人間の主から名前を貰っていた。
 本当の名前とは違うけれど、とても大事な名前だと言ってた。
 だからアーシャという名前を貰えたのは、とても嬉しい」
 アーシャは本当に嬉しそうだった。
「じゃあ、これからもアーシャのままでいいね。
 そうだ、アーシャの本当の名前はなんて言うの?」
「無理に人間の言葉にすれば……エウトァシルゥー。
 竜の言葉で意味は高貴なる石、宝石」
「エウトァシルゥーか、綺麗な響きだね」
「うん、ありがとう」
 少し仲良くなれたような気がする二人だった。

 開けて翌日。いよいよ出発である。
 気持ちのいい朝だ。
 家族だけでなく、クロードをはじめ、伯爵家総出で見送られての出発だった。
 最初の目的地は王都。これは前に決めていたことだ。
 ついでにということで、手紙も幾通か預かっている。父からは、王都では竜をつなぐ場所もなかろうと、王軍竜騎士隊への紹介状を貰った。
 荷物も持った。忘れ物はないはずだが、あったらあったで取りに来ればいい。アーシャのおかげで、諦めようと思っていた帆布製の敷物や多少の道具類も持っていける。
 一旗揚げきるまで帰るつもりはないとかそういう覚悟はなかったし、それでいいと思っていた。そうでなくともここは貿易都市で、自分は商人でもあるのだ。知った顔も多いし立ち寄らない手はない。

 うん、そうだ。
 名残は惜しいが、いつまでものろのろしていてもしかたない。
 
「いってきます!」

 元気に挨拶をしてからアーシャの背に乗った。ふわり。
 それから見送りの人々の上をゆっくり一周したあと、リシャールは王都に向けて旅立った。







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